電気製品にははんだが使われています
これらのはんだの多くは、スズと鉛から作られています。
その中で、共晶はんだと言われるものは、スズが63%、鉛が37% 含まれているはんだで、非常に使い勝手の良い、優れたはんだです。 比較的低い温度(約183℃)で溶け、作業しやすいため、古くから 電気製品等に多く使われてきました。
鉛と人体への影響
しかし、近年、鉛の有毒性がわかってきました。電気製品に使われているはんだに含まれる鉛の量は、他の分野で使われる鉛の使用量から見ればごく少量ですが、不法に廃棄された電気製品から酸性雨などによって鉛が溶け出し、その水を人が飲むことによって血液中に入り、人体に障害等を起こす可能性もあります。
EU諸国での規制と鉛フリーはんだの開発
人体に有害であるという観点から、ヨーロッパの主な国が参加する欧州連合(EU) 及び中国や韓国では、いくつかの例外を除き、販売される電気製品には鉛を使うことを禁止することになります。日本やアメリ力においては、使用を法律で規制されていませんが、企業や業界毎に自主規制をしようとする動きがあります。 そのような動きに対応するため、EU諸国、米国や日本においては、 電気メーカーや公的研究機関等が一体となっ てプロジェクトチームを作り、鉛を含まないはんだ、すなわち鉛フリーはんだの実用化研究がさかんに行われてきました。目標とする鉛フリーはんだの性能は、実績のあるスズ・鉛からなる共晶はんだの融点、作業性、信頼性、コスト等になります。
鉛フリーはんだを使った製品の実用化
数年前から、一部の電気製品においては、実用化されたいくつかの種類の鉛フリーはんだが使用され、市場で販売されてきました。特に、日本は実用化研究が進んでおり、大手電気メーカーにおいては、ほとんどの電気製品に使われるはんだが鉛フリーはんだに置き換えられています。
主な鉛フリーはんだの種類と特長
現在、実用化されている、または盛んに研究されている鉛フリーはんだにはいくつかの種類がありますが、主な物としては下記の合金成分で、スズを主成分としています。
スズ(Sn)ー銀(Ag)ー銅(Cu)系のはんだ合金
このはんだは多くの実験データがあり、今のところ最も多く使用されている信頼性のある鉛フリーはんだです。現在、日本のエレクトロニクス及びIT(情報技術)分野の業界の団体である(社団法人)電子情報技術産業協会(JEITA)では、スズ(Sn)が96.5%、銀(Ag)が3.0%、銅(Cu)が0.5%の鉛フリーはんだを推奨しています。若干組成は異なりますが、EUやアメリカもこのはんだを推奨しています。問題点は、融点(はんだが溶ける温度)が約220℃で、スズー鉛の共晶はんだに比べて約40℃高くなるため、はんだ付けされる電子部品が熱で壊れる可能性が高くなったことや、漏れ性に劣ったり、若干、銀を含むため毒性が指摘されたり、値段が高くなることです。